「デスクワークをしていると、どうして肩がこるんですか?」
これは、当院でもお客様からいただくことのある質問です。
・仕事を始めたばかりの午前中はそれほど気にならないのに、夕方になると肩が重くなってくる。
・パソコンに向かっていると、首から肩にかけてガチガチに固まっているように感じる。
・肩がつらくなってくると、仕事への集中力も落ちてしまう。
そんな経験はありませんか?
なかには、
「姿勢が悪いから仕方ない」
「デスクワークだから肩こりは治らない」
「定期的に肩を揉んでもらうしかない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、デスクワークで肩がこる理由は、単純に姿勢が悪いからというだけではありません。
実際には、筋肉の働き方、身体を動かす頻度、作業環境、精神的な緊張、普段の運動習慣など、さまざまな要素が関係しています。
今回は、デスクワークで肩がこる仕組みを解説しながら、肩こりを軽減するためにできることや、身体の状態を確認する際に大切なポイントをお伝えします。
1. デスクワークで肩がこるのはなぜ?

結論からお伝えすると、
デスクワークによる肩こりは、長時間同じような姿勢で作業することや、首・肩の筋肉への持続的な負担などが重なって起こる場合があります。
ここで少し考えてみてください。
パソコンで仕事をしているとき、身体はあまり動いていないように感じませんか?
実際に、走ったり重たいものを持ったりしているわけではないので、身体を使っている実感は少ないかもしれません。
しかし、私たちの筋肉は身体を大きく動かしているときだけ働いているわけではありません。
姿勢を保つためにも、筋肉は働いています。
例えば、
頭を支えること、腕をキーボードの位置に保つこと、座った姿勢を維持することにも筋肉が関わっています。
つまり、身体を動かしていないように見えても、首や肩の筋肉には持続的な負担がかかっていることがあるのです。
ただし、デスクワークをしているすべての方が肩こりになるわけではありません。
肩こりを感じるかどうかには個人差があり、仕事環境や身体の状態、生活習慣なども関係しています。
2. デスクワークで肩がこる5つの原因
では、デスクワーク中には、具体的にどのようなことが肩こりに関係するのでしょうか?
代表的な5つの要因を解説します。
① 長時間同じ姿勢を続けている
一つ目は、長時間同じ姿勢を続けることです。
首や肩の周囲には、頭や腕を支えるための筋肉があります。
代表的なものとして、僧帽筋や肩甲挙筋などがあります。
これらの筋肉は、
頭や肩甲骨の位置を保つことにも関係しています。
デスクワークでは、画面を見ながら頭の位置を保ち、両腕を使ってキーボードやマウスを操作します。
同じ姿勢や作業が続くと、特定の筋肉に負担が集中し、疲労感や痛みにつながる場合があります。
また、一定の姿勢で筋肉を使い続けると、筋肉内の血流や代謝環境が変化することがあります。
ただし、肩こりの原因がすべて血流不足というわけではありません。
筋肉の負荷や神経系の痛みの感じ方なども関係すると考えられています。
ここで大切なのは、姿勢を完璧に保つことではありません。
どれだけ良い姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けないことが重要です。
② 頭が前に出て、首や肩への負担が増えている
二つ目は、頭と身体の位置関係です。
パソコンの画面に集中していると、無意識に顔を前へ突き出すような姿勢になっていませんか?
頭は首によって支えられています。
頭が身体より前に出ると、その位置を保つために首や肩の筋肉に求められる働きが変化します。
特に、首の後ろ側にある筋肉などが、頭の位置を保つために働くことがあります。
このような姿勢が長く続くと、首や肩の疲労感や不快感に関係する場合があります。
ただし、ここで注意したいことがあります。
頭が前に出ている姿勢そのものが、必ず肩こりを引き起こすわけではありません。
姿勢と痛みの関係は単純ではなく、同じ姿勢でも肩がこらない方もいらっしゃいます。
そのため、当院でも見た目の姿勢だけで原因を決めつけることはしません。
頭や首の位置を変えることで実際に症状が変わるのか、身体の動きに制限があるのかなども含めて考えることが大切です。
③ 肩や腕を支える筋肉に負担がかかっている
三つ目は、キーボードやマウスを操作するときの腕の位置です。
例えば、
机が高すぎると、肩を少し持ち上げた状態で仕事を続けることがあります。
反対に、キーボードやマウスが遠い位置にあると、腕を前に伸ばし続ける必要が出てきます。
このような環境では、肩や腕を支える筋肉に負担がかかりやすくなります。
米国労働安全衛生局(OSHA)でも、キーボードやマウスの高さ・位置が不適切な場合、肩や腕に負担が生じる可能性があると説明されています。
ここで一つ確認してみてください。
今、パソコンを操作するときに、肩をすくめていませんか?
肘が身体から大きく離れていませんか?
マウスを使うために、毎回腕を遠くまで伸ばしていませんか?
もし当てはまる場合は、机や椅子、キーボードの位置を少し変えるだけでも、作業中の負担を軽減できる可能性があります。
④ 肩甲骨や背中を動かす機会が少ない
四つ目は、身体を動かす機会が少ないことです。
肩甲骨は、腕を上げたり、肩を回したりする際に動く骨です。
周囲には僧帽筋、前鋸筋、菱形筋など、さまざまな筋肉が付着しています。
これらの筋肉は、腕や肩甲骨の動きを調整する役割を担っています。ところが、デスクワークでは、腕を大きく上げたり、肩甲骨をさまざまな方向へ動かしたりする機会が限られます。
また、長時間座ったままでいると、背骨や股関節を大きく動かす機会も少なくなります。
こうした状態では、身体の動きが偏り、特定の筋肉への負担が続く場合があります。
だからこそ、肩こりを感じるときには、肩だけでなく背中や肩甲骨、身体全体を動かすことも選択肢になります。
ただし、肩甲骨が動いていないことだけで肩こりの原因を断定することはできません。
身体の動きや筋力、症状との関係を確認することが大切です。
⑤ ストレスや睡眠不足などが重なっている
五つ目は、身体の動き以外の要因です。
肩こりというと、姿勢や筋肉だけの問題だと思われるかもしれません。
しかし、実際には精神的なストレスや睡眠の状態なども、痛みの感じ方に関係することがあります。
例えば、
仕事の締め切りが迫っていたり、緊張する場面が続いたりすると、無意識に肩に力が入っていることがあります。
また、睡眠不足や疲労が続くと、痛みや不快感を強く感じる場合があります。
そのため、身体の動きに大きな問題が見られない場合でも、仕事量や休息の取り方を見直すことが役立つケースがあります。
肩こりは、身体だけでも、精神面だけでも説明できるとは限りません。
身体の負担と生活環境の両方に目を向けることが大切なのです。
3. 肩こりを繰り返す人に知ってほしい「筋肉の役割」

肩こりを考えるうえで、筋肉の働きを理解することも重要です。
筋肉には、大きく分けて身体を動かす役割と、身体の位置を保つ役割があります。
例えば、
ダンベルを持ち上げるときには、腕を曲げるための筋肉が働きます。
一方、何かを持ち上げずに、同じ位置で腕を保つときにも筋肉は働いています。
デスクワーク中の首や肩でも、これと似たことが起きています。
大きく動いていなくても、頭や腕の位置を保つために筋肉が働き続けていることがあるのです。
このような持続的な筋活動自体は、決して悪いものではありません。
私たちが姿勢を維持するためには、必要な働きです。
しかし、休息や動作の変化が少なく、負担が偏ると、肩こりを感じやすくなる場合があります。
だからこそ、肩こりへの対策では、筋肉を一時的にほぐすだけではなく、日常生活で筋肉をどのように使っているのかを考えることが重要になります。
4. 肩を揉んでも、すぐにこってしまうのはなぜ?

「肩を揉んでもらうと、その日は楽になります」
「でも、翌日にはまた肩が重くなってしまいます」
このような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
肩周辺へのマッサージなどによって、一時的に痛みや不快感が和らぐ場合があります。
しかし、肩に負担がかかりやすい作業環境や生活習慣が変わっていなければ、再び症状が現れることもあります。
例えば、
仕事中に肩を持ち上げていたり、毎日ほとんど身体を動かさなかったりする場合です。もちろん、すべての肩こりが生活習慣だけで解決するわけではありません。
頸椎や肩関節の疾患などが関係している場合もあります。
ただし、身体の状態を評価したうえで、必要に応じて仕事環境や運動習慣を調整することは、肩こりと向き合うための重要な選択肢です。
「肩がこったら揉む」だけでなく、「なぜ肩がつらくなるのか」を知ることが、次の一歩につながります。
5. デスクワークの肩こりを軽減するためにできる5つのこと
ここまで、デスクワークで肩がこる原因について解説しました。
では、仕事を続けながら肩への負担を減らすためには、何をすればよいのでしょうか?ここでは、今日から取り入れやすい5つの方法をご紹介します。
① パソコンの画面の位置を見直す
まずは、パソコンの画面の高さや位置を確認してみましょう。
画面が低すぎる場合、頭や首を大きく下に向ける姿勢になりやすくなります。
反対に、画面が高すぎると、顎を上げるような姿勢になることがあります。
どちらも、長時間続くと首や肩の負担に関係する可能性があります。
米国労働安全衛生局(OSHA)では、画面を身体の正面に配置し、画面上端が目の高さ以下になることなどを推奨しています。
目安としては、
画面の上端を目の高さ付近か少し下にし、首を大きく曲げなくても画面が見える位置に調整してみましょう。
なお、ノートパソコンを長時間使用する場合は、パソコンスタンドや外付けキーボードなどを活用する方法もあります。
② キーボードとマウスを身体に近づける

キーボードやマウスの位置も重要です。
腕を大きく前へ伸ばしたまま仕事をしていると、肩の筋肉に負担がかかることがあります。
そのため、できるだけ肘を身体の近くに保ち、肩をリラックスさせた状態で操作できる環境を整えてみましょう。
また、椅子の高さを調整し、足裏が床につきやすい状態にすることも大切です。
身体の大きさや机の高さには個人差があるため、すべての方が同じ姿勢を取る必要はありません。
自分が無理なく作業できる位置を見つけることが大切です。
③ こまめに休憩して身体を動かす

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の作業休止時間を設けることや、その間にも小休止を取ることが示されています。
仕事中は集中していると、つい長時間同じ姿勢になってしまいがちです。
そのため、1時間に一度はパソコンから離れて、立ち上がったり、歩いたり、肩を軽く動かしたりする時間を確保してみましょう。
休憩するたびに大きなストレッチをする必要はありません。
少し身体を動かすだけでも、同じ姿勢が続くことを避けられます。
④ 首や肩甲骨を無理のない範囲で動かす
肩回し
肩をゆっくり持ち上げ、後ろへ回すように動かします。5〜10回程度を目安に、呼吸を止めずに行いましょう。
肩甲骨を寄せる運動
肩をすくめないように、左右の肩甲骨を軽く寄せます。3〜5秒保持し、力を抜く動作を5回程度行います。
背中を動かす運動
背筋を無理なく伸ばして座り、上半身を左右へゆっくりひねります。痛みのない範囲で左右3〜5回程度を目安にしましょう。
いずれも痛みやしびれを強めない範囲で行うことが大切です。
また、慢性的な首の痛みがあるデスクワーカーに対する運動療法については、痛みや身体機能の改善に役立つ可能性が研究で示されています。ただし、適切な運動の内容や負荷には個人差があります。
⑤ 仕事以外の時間にも身体を動かす習慣をつくる

デスクワークで長時間座っている方は、仕事中だけでなく、
一日の活動量にも目を向けてみましょう。
例えば、
通勤中に少し歩く、昼休みに散歩をする、休日に無理のない運動を取り入れるなど、できることから始めてみてください。
特に、首や肩の運動だけではなく、ウォーキングや筋力トレーニングなどを組み合わせることも選択肢になります。
ただし、運動をすれば必ず肩こりがなくなるというわけではありません。
今の体力や痛みの状態に合わせて、無理なく続けられることが重要です。
6. 自分の肩こりは、何が関係している?チェックしてみましょう

ここまで読んでいただいた方の中には、「自分の場合は、どれが原因なのだろう?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、普段の仕事環境や身体の状態を振り返ってみましょう。
デスクワーク肩こりセルフチェック
当てはまる項目を選択してください
・仕事中、1時間以上ほとんど姿勢を変えない
・パソコン画面を見るために首を大きく曲げている
・マウスやキーボードを操作するとき肩をすくめる
・肩や背中を動かす機会が少ない
・夕方になると肩の重さや痛みが強くなる
・休憩や睡眠を十分に取れていない
・日常的に運動する機会が少ない
7. 肩こりだと思っていても、医療機関への相談が必要な場合があります
デスクワーク中に感じる肩こりは、筋肉や身体の使い方が関係している場合があります。
しかし、首や肩の痛みがすべて筋肉の問題とは限りません。
例えば、
頸椎や神経の病気、肩関節の病気などが関係している場合もあります。
特に、次のような状態がある場合は注意が必要です。
- 手や腕にしびれがある、力が入りにくい
- 痛みが強くなり続けている
- 首や肩だけでなく、腕に広がる痛みがある
- 症状が長引き、日常生活に支障が出ている
- 発熱や原因不明の体重減少を伴っている
このような場合は、整形外科などで相談することをおすすめします。
なお、突然の強い首・肩の痛みとともに、胸の痛み、息苦しさ、冷や汗がある場合や、急な麻痺・言葉の異常などが生じた場合は、救急受診が必要です。
肩こりだと思い込んで、重大な病気のサインを見逃さないことが大切です。
8. 当院が大切にしているのは、肩がこる理由を一緒に整理すること

当院では、肩こりを感じている方に対して、単に肩の筋肉が硬いかどうかだけを確認するのではなく、身体全体の状態や生活習慣にも目を向けています。
なぜなら、
同じデスクワークをしている方でも、肩こりにつながる要因は一人ひとり異なるからです。
例えば、
首の動きに制限がある方もいれば、肩甲骨や胸椎の動きに課題がある方もいらっしゃいます。
また、筋力や運動習慣だけでなく、仕事中の姿勢や机の高さ、睡眠の状態などが関係している場合もあります。
そのため、当院では必要に応じて、次のような点を確認していきます。
- 首や肩の可動域と、動かしたときの症状
- 肩甲骨や胸椎の動き
- 首や肩周辺の筋肉の働き方
- 姿勢や座っているときの身体の使い方
- 仕事中に肩こりが強くなるタイミング
- 運動、睡眠、食事などの生活習慣
こうした評価を通して、現在の身体にどのような課題が考えられるのかを整理します。
例えば、
肩甲骨周辺の筋力が不足していると考えられる場合には、身体の状態に合わせて運動を取り入れることがあります。
また、仕事中の姿勢や作業環境に負担となる要素が見つかった場合には、日常生活で取り組める方法もお伝えします。
私たちが大切にしているのは、施術を受けている時間だけではなく、仕事中や自宅にいる時間も含めて、自分の身体をより快適に使えるようになることです。
もちろん、整体ですべての肩こりを改善できるわけではありません。
医学的な診察や治療が必要と考えられる場合には、適切な医療機関での相談を優先していただきます。
そのうえで、身体の動きや日常生活の負担を見直し、自分自身で身体をケアできる力を身につけていただくことを目指しています。
9. 仕事が終わったあとも、家族との時間を楽しめる身体へ
デスクワークによる肩こりのつらさは、仕事中だけではないと思います。
「仕事が終わる頃には肩が重くて、何もする気になれない」
「帰宅しても疲れが取れず、ソファで横になってしまう」
「休日は身体を休めることで精一杯になってしまう」
このような状態が続くことで、仕事への集中力だけでなく、家族と過ごす時間や、自分の趣味を楽しむ余裕にも影響する場合があります。
だからこそ当院では、
単に肩の重さや痛みに注目するだけではなく、その先にある生活を大切にしたいと考えています。
・仕事に集中できること。
・帰宅後も家族との会話や食事を楽しめること。
・休日に好きな場所へ出かけられること。
そして、5年後も10年後も、自分らしく働き、やりたいことを楽しめる身体であること。
そのためには、肩こりを「仕事をしているから仕方ない」と諦めるのではなく、
今の身体の状態を知り、できることから少しずつ見直していくことが大切です。
目指したいのは、肩こりを我慢しながら働く毎日ではなく、仕事も、家族との時間も、自分の人生も大切にできる身体です。
10. まとめ|デスクワークの肩こりは、姿勢だけが原因ではありません

今回の内容を振り返ってみましょう。
デスクワークによる肩こりには、長時間同じ姿勢が続くこと、頭や腕を支える筋肉への負担、肩甲骨や背中を動かす機会の少なさ、ストレスや睡眠など、複数の要因が関係する場合があります。
そのため、肩こりを感じたときには、肩の筋肉をほぐすことだけでなく、仕事環境や身体の動き、生活習慣を見直すことも大切です。
そして、もう一つ覚えておいていただきたいことがあります。
それは、
肩こりを感じる理由は人によって異なるため、自分の身体の状態に合った方法を選ぶことが重要だということです。
もし今、
「デスクワークをしていると肩こりがつらくなる」
「肩を揉んでも、すぐに元に戻ってしまう」
「自分の肩こりには何が関係しているのか知りたい」
「仕事が終わったあとも、家族との時間を元気に楽しみたい」
とお考えの方は、当院でも身体の状態や生活習慣についてご相談いただけます。
肩こりを我慢し続けるのではなく、自分の身体を理解し、安心して働き、生活を楽しめる身体づくりを始めてみませんか?

