
「毎日ストレッチをしていれば、肩こりや腰痛は予防できますか?」
これは、実際に当院でもお客様からいただくことのある質問です。
肩こりや腰痛を感じたとき、ストレッチをして身体を伸ばしたり、筋肉をほぐしたりしている方も多いのではないでしょうか。
最近では、テレビやYouTube、SNSなどでも、さまざまなストレッチが紹介されています。
そのため、
「身体が硬いと肩こりや腰痛になりやすいのかな?」
「毎日ストレッチを続けていれば、痛みを予防できるのでは?」
「ストレッチをしているのに、どうしてまた肩がこるんだろう?」
と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、ストレッチは身体の柔軟性を保つために役立つ運動ですが、ストレッチだけですべての肩こりや腰痛を予防できるわけではありません。
なぜなら、身体の不調には、筋肉の柔軟性以外にも、筋力や持久力、身体活動量、日常生活の負担など、さまざまな要素が関係するからです。
今回は、ストレッチで期待できる効果と限界、肩こりや腰痛を予防するために考えたい運動、そして自分に合った身体づくりについて、わかりやすく解説します。
1. 結論|ストレッチは役立ちますが、それだけで不調を予防できるとは限りません

まず結論からお伝えします。
ストレッチは身体の柔軟性や動かしやすさを保つために役立ちますが、肩こりや腰痛などを必ず予防できるわけではありません。
そもそも、ストレッチの主な目的は、筋肉などを伸ばして関節の可動域を維持・向上させることです。
身体の動きにくさを感じる方にとっては、ストレッチが役立つ場合があります。
しかし、肩こりや腰痛の原因は、筋肉の硬さだけではありません。
例えば、長時間同じ姿勢を続けていたり、身体を動かす習慣が少なかったり、筋力や持久力が不足していたりすることが関係する場合もあります。
そのため、ストレッチだけを続けるよりも、身体の状態に応じて筋力トレーニングやウォーキング・ランニングなどを組み合わせることが大切です。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、
成人に対して、筋力トレーニングを週2〜3日行うことや、座りっぱなしの時間を長くしすぎないことなどを推奨しています。
ただし、これらは身体全体の健康増進を目的とした推奨事項であり、ストレッチと組み合わせれば必ず肩こりや腰痛を予防できるという意味ではありません。
大切なのは、自分の身体にどのような課題があり、何を改善するために運動を行うのかを理解することです。
2. そもそもストレッチにはどのような効果があるのでしょうか?

ストレッチには、主に関節の動かしやすさや柔軟性を維持・向上させる効果が期待できます。
例えば、
太ももの裏側の筋肉が伸びにくい方が、適切なストレッチを継続することで、前屈動作などの可動域が広がる場合があります。
また、肩や胸の周囲のストレッチを行うことで、腕を動かしやすくなる方もいらっしゃいます。
しかし、ここで注意していただきたいことがあります。
それは、ストレッチをしたことで身体が動かしやすくなったとしても、必ずしも筋肉そのものの構造が大きく変わったとは限らないということです。
ストレッチによる可動域の変化には、筋肉や腱などの機械的な性質の変化だけでなく、伸ばされる感覚への耐性が変化することなども関係すると考えられています。
また、柔軟性が高いことと、痛みがないことは同じではありません。
身体が柔らかくても肩こりや腰痛を感じる方はいますし、身体が硬くても痛みを感じない方もいます。
つまり、ストレッチは身体づくりの一つの手段であって、すべての不調に対する万能な方法ではないのです。
3. なぜストレッチをしていても肩こりや腰痛になるのでしょうか?

ストレッチを毎日続けているのに、肩こりや腰痛を繰り返してしまう方もいらっしゃいます。
その理由を考えるために、身体に必要な3つの働きを整理してみましょう。
① 柔軟性|身体を動かせる範囲

柔軟性は、関節をどのくらい動かせるかに関係する要素です。
例えば、肩を上げる、身体をひねる、しゃがむといった動作には、関節の可動域が必要です。
身体の動きが制限されている場合には、ストレッチや可動域運動が役立つことがあります。
ただし、柔軟性が高ければ高いほど健康によいというわけではありません。
関節の状態によっては、過度に伸ばすことが適切でない場合もあります。
② 筋力|身体を支えたり動かしたりする力

筋肉には、身体を動かすだけでなく、姿勢を保ったり、関節を支えたりする働きがあります。
例えば、椅子から立ち上がる、階段を上る、重たい荷物を持つといった動作には、筋力が必要です。
筋力が不足していると、日常生活での動作が難しくなったり、疲れやすくなったりする場合があります。
筋力を高めるためには、ストレッチとは異なり、筋肉に適切な抵抗をかけるトレーニングが役立ちます。
厚生労働省でも、筋力トレーニングが筋力や身体機能の維持・向上に役立つと説明しています。
③ 持久力|身体を使い続ける能力

もう一つ大切なのが、筋肉や全身の持久力です。
例えば、同じ姿勢でパソコン作業をしていても、すぐに疲れてしまう方と、比較的長く快適に作業できる方がいます。
もちろん、その違いがすべて筋持久力によって説明できるわけではありません。
しかし、筋肉が繰り返し力を発揮する能力や、全身の体力は、日常生活を送るうえで重要です。
ウォーキングなどの有酸素運動や、適切な筋力トレーニングを取り入れることで、こうした身体機能を維持・向上させることができます。
このように、身体を快適に動かすためには、柔軟性だけでなく、筋力や持久力も大切なのです。
4. 肩こり・腰痛の予防には、どのような運動が必要?

・ストレッチ
・関節の可動域や柔軟性の維持・向上
・筋力トレーニング
・筋力・身体機能の維持・向上
・ウォーキング
・全身持久力と身体活動量の維持・向上etc
肩こりや腰痛などの不調を予防するためには、
一つの運動だけにこだわらず、複数の方法を組み合わせることが選択肢になります。
実際に、2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、
慢性的な首の痛みがあるオフィスワーカーにおいて、首や肩、肩甲骨周辺の筋力トレーニングが痛みや生活機能の改善に役立つ可能性が報告されています。
ただし、研究のエビデンスの確実性は低く、これはすでに首の痛みがある人への介入効果を調べた研究であり、健康な人の肩こりを予防できることを直接証明したものではありません。
つまり、「ストレッチより筋トレが絶対に正しい」ということではありません。
柔軟性に課題がある方もいれば、筋力や活動量を見直した方がよい場合もあります。
大切なのは、運動の種類を先に決めることではなく、今の身体に必要な運動を考えることです。
5. ストレッチを毎日していても、日常生活での負担が大きければどうなる?

例えば、毎晩10分間ストレッチをしている方を想像してみてください。
その方が一日の大半をデスクワークで過ごし、
ほとんど立ち上がることもなく、運動する習慣も少なかったとします。
この場合、ストレッチを続けること自体はよい習慣ですが、それだけで一日の身体活動量が十分になるわけではありません。
また、作業環境や休憩の取り方などが、肩や腰の不快感に関係している可能性もあります。
厚生労働省のガイドでも、長時間の座位行動をできるだけ中断することが推奨されています。これは主に心血管代謝などの健康リスクを踏まえたものですが、身体を動かす機会を増やすという意味でも参考になります。
そこで、次のようなことを考えてみましょう。
・仕事中にこまめに立ち上がれているか。
・休日に身体を動かす時間があるか。
・十分な睡眠や休息を取れているか。
・仕事で使う机や椅子が、自分の身体に合っているか。
ストレッチをしているかどうかだけでなく、
一日を通してどのように身体を使っているかを確認することも大切です。
6. 今日からできる!身体の不調を予防するための運動習慣
ここでは、運動習慣の少ない方でも比較的始めやすい方法を紹介します。
特定の痛みやしびれがある場合は、
原因を確認し、必要に応じて医師などに相談してから取り組みましょう。
① 肩回し


両肩を触り、をゆっくり持ち上げ、後ろに回して下ろします。
5〜10回程度、ゆっくり呼吸をしながら動かしてみましょう。
② 座りながら肩甲骨ストレッチ

椅子に座り、内側から足を掴み、膝を伸ばします。
肩甲骨の周りがストレッチされる感じがあれば、5〜10秒深呼吸します。
③ 短時間のウォーキング

まずは5〜10分程度を目安に、無理なく歩ける時間から始めてみましょう。
最初からすべてを行う必要はありません。
身体の状態や生活リズムに合わせて、できることを一つ選ぶところから始めてみてください。
また、ストレッチで柔軟性を保つことも、引き続き取り入れても大丈夫です。
大切なのは、ストレッチだけに頼るのではなく、
少しずつ身体を動かす習慣を増やすことです。
7. ストレッチをするときに注意してほしいこと

ストレッチは比較的手軽に行えますが、すべての人に安全とは限りません。
特に、次のような点には注意が必要です。
① 痛みを我慢して無理に伸ばさないこと
強く伸ばした方が効果があると思い、痛みを我慢してストレッチをする方もいらっしゃいます。
しかし、強い痛みを伴うストレッチを無理に続ける必要はありません。
気持ちよく伸びる範囲を目安にして、反動をつけずに行いましょう。
② しびれがある場合は自己判断で伸ばさないこと
しびれには、神経の圧迫や障害、内科的な病気などが関係する場合があります。
そのため、しびれを伴っている場合は、筋肉が硬いからだと決めつけず、医療機関で原因を確認することが大切です。
ストレッチによってすべての神経症状を予防・改善できるわけではありません。
③ ストレッチで症状が悪化する場合は中止すること
運動中や運動後に痛みが強くなったり、しびれが広がったりする場合は、その運動を中止して医療機関へ相談してください。
また、進行する筋力低下、強い夜間痛、発熱、外傷後の強い痛みなどがある場合も、セルフケアより医学的な評価が優先されます。突然の片側のしびれや麻痺、排尿・排便障害などの緊急症状では、速やかな救急受診が必要です。
8. 自分の身体に必要なのはストレッチ?筋トレ?まずは確認してみましょう

ここまで読んでいただいた方の中には、
「自分は何から始めれば良いんだろう?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、普段の生活を振り返ってみましょう。
身体づくりのセルフチェック
・毎日ストレッチをしているが、不調を繰り返している
・首・肩・腰などに動かしにくさがある
・椅子から立ち上がる、階段を上る動作で疲れやすい
・仕事中、長時間座ったままになりやすい
・ウォーキングや筋力トレーニングの習慣が少ない
・痛みへの不安から身体を動かす機会が減っている
これらは運動習慣を振り返るためのものです。
チェック数だけで原因や重症度は判断できません。
9. 当院では、ストレッチをお伝えする前に身体の状態を確認することを大切にしています

ここまではストレッチと身体の不調についてお伝えしてきました。
当院が大切にしているのは、単に身体を柔らかくすることでも、たくさんの運動を覚えていただくことでもありません。
今の身体には何が必要なのかをご本人にも理解していただくことです。
例えば、同じ肩こりでお悩みの方でも、身体の状態や生活習慣は異なります。
首や肩の可動域に制限がある方もいれば、筋力や持久力に課題がある方もいらっしゃいます。
また、身体の動きだけではなく、睡眠不足や仕事中の負担などが関係している可能性もあります。
そのため、当院では必要に応じて、次のような項目を確認しています。
- 首、肩、腰、股関節などの動かしやすさ
- 筋力や身体を支える能力
- 立ち上がりや歩行などの動作
- どのような場面で症状が強くなるか
- 仕事や家事での身体への負担
- 睡眠、食事、運動などの生活習慣
- 不調によって難しくなっていること
こうした情報を整理しながら、
ストレッチが必要なのか、筋力トレーニングが適しているのか、生活環境を見直すことが優先なのかを考えていきます。
例えば、身体の動きに制限がある方には、適切な可動域運動やストレッチを取り入れる場合があります。
一方、筋力や活動量に課題がある方には、
無理のない筋力トレーニングや運動習慣の見直しを提案することもあります。
また、身体の状態に合わせて、施術によって痛みや動かしにくさを和らげることを目指す場合もあります。
ただし、整体やストレッチによってすべての痛みを予防・改善できるわけではありません。
医学的な評価や治療が必要な場合には、医療機関での対応を優先していただきます。
当院が目指しているのは、
整体院に通っているときだけ身体が楽になることではありません。
ご自身でも身体の状態を理解し、
日常生活の中で必要なことを選び、健康を維持する力を身につけていただくことです。
施術と運動、そして生活習慣を一緒に考えながら、
これからの身体をつくっていくこと。
それが、当院が大切にしている考え方です。
10. ストレッチを続ける目的は、身体を柔らかくすることだけではありません

最後に、もう一つ考えていただきたいことがあります。
それは、ストレッチや運動を続ける本当の目的についてです。
例えば、肩こりや腰痛を繰り返している方の中には、
「仕事が終わると身体がつらくて、何もする気になれない」
「休日も身体を休めることで精一杯になってしまう」
「家族と出かけたいけれど、また痛くなるのが心配」
と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方にとって、本当に大切なのは、前屈で床に手がつくようになることでしょうか。
もちろん、身体の柔軟性が高まることは一つの変化です。
しかし、それ以上に大切なのは、身体を今より快適に動かせるようになり、やりたいことを楽しめることではないでしょうか。
・仕事が終わったあとも、家族と楽しく過ごせること。
・休日には、好きな場所へ出かけられること。
・身体への不安を必要以上に抱えず、新しいことに挑戦できること。
そして、5年後も10年後も、自分らしく身体を動かせること。
当院のお客様は、そのような毎日を大切にしています。
ストレッチは、そのための方法の一つです。
筋力トレーニングやウォーキング、日常生活での活動量を増やすことも、大切な選択肢になります。
目指したいのは、ただ柔らかい身体ではなく、
自分のやりたいことを安心して楽しめる身体です。
そのために、まずは今の身体の状態を知り、自分に必要なことから始めてみませんか?
11. まとめ|ストレッチだけに頼らず、自分の身体に合った予防を考えましょう
今回の内容を振り返ってみましょう。
- ストレッチは、柔軟性や関節の動かしやすさを保つために役立ちます。
- ストレッチを毎日行っていても、すべての肩こりや腰痛を予防できるわけではありません。
- 身体には柔軟性だけでなく、筋力や持久力も必要です。
- ウォーキングや筋力トレーニングなどを組み合わせることは、身体機能の維持・向上に役立ちます。
- 自分の身体の状態や生活習慣を確認し、必要な運動を選ぶことが大切です。
- しびれや強い痛みがある場合は、ストレッチで対処しようとせず、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
もし今、
「毎日ストレッチをしているのに、肩こりや腰痛を繰り返している」
「自分にはストレッチと筋トレのどちらが必要かわからない」
「身体を動かした方がいいとは思うけれど、何から始めればよいかわからない」
「これからも仕事や家事、家族との時間を元気に楽しみたい」
とお考えの方は、
当院でも身体の状態や生活習慣についてご相談いただけます。
当院では、身体の柔軟性だけではなく、筋力や動作、日常生活での負担などを確認しながら、一人ひとりに合った身体づくりをサポートしています。
「とりあえずストレッチをする」から、
「今の自分の身体に必要なことを知って取り組む」へ。
身体の状態を一緒に確認しながら、
これからも安心して好きなことを楽しめる身体づくりを始めてみませんか?
